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大吉朋子 ブログDesigns854
2022.05.20

心と体と思考の健康をデザインする「とっておきの休み時間」1時限目

この記事は、「Colla:J」にて毎月連載をしている「とっておきの休み時間」より。
https://collaj.jp/index.html

                  

フリーランスになってからは、時間の決まった仕事以外の時間はすべて自分でプランできるため、良く言えば自由。真面目な性分にとっては、いつも何かしなければ、という強迫観念に近いものすらあり、オンオフという感覚がほとんどない。もはや「休み」と言うことに、やや後ろめたい気持ちを持ってしまうことすらあったけれど、年齢を重ねるごとにずいぶん気楽になった。

一番の趣味はサーフィン。始めて18年ほどになるものの、いまだにビギナー気分が抜けない。とはいえ、お気に入りのロングボードで、春夏秋冬どの季節でも海に入る。1~2月は外で着替える時に一瞬気合いがいるけれど、天気の良い日にほどほどの波があったら寒さは二の次、冷たい海水に体が絞られ、ほんとうに清々しい気持ちになる。そうはいっても私はいわゆる「サーファー」ではなく、”ちょっとそこまで” くらいの感じでサクッと海に行って帰ってくる、というスタイルが好きで、サーファーらしい感じはほとんどないと我ながら思う。

不思議なことに、仕事や予定が入っている時にかぎっていい波がある。どういう巡りあわせになっているのか、このパターンがとても多い。海の近くに住んではいないから、海行きの選択肢がない日は波情報を見ないようになったけれど、うっかりすると1ヶ月くらい海から遠のいている時もあり、まぁそれでも幸せに暮らしているものの、なにか体内に溜まってくるものがあるから海に入りたい欲求が強まってくる。

先日、1年に3回あるかないかの良い日に巡り会った。
その日は「海DAY」と思って予定していて、前日までの波予報もまずまずで、早起きして波情報を見ると、なんと湖のような海面が映っている。画面をアップにして海面を見ても期待うすな感じ。これはあるあるとはいえ少々がっかり。もやぁ~っとしつつも、自然のことはどうにもできないので海行きをあきらめて仕事を始めた。すると、なんだかサクサク仕事が進んで午前中でひと区切り。ふと、波情報をチェックしたら、なんと波がある感じ。もうよけいな事は考えずにさっさと準備して海へGO。

そこそこオンショアが吹いているものの、いい感じで乗れている様子。しかも、遠目にみるとあまり良くないからか、海がとても空いている。暖かい日で海水温度も冬モードから変わってやさしい。「ありがとう~」と心で叫びながら、空腹に耐えられるまで波乗りをした。青空広がる午後の太陽のもと、ガツガツした人もいない、それぞれが自分のペースで波乗りに集中して楽しんでいる感じはほんとうにサイコーだった。

この日の海は私にとって最高で、とにかく気持ちが良かった。数日たった今もまだその余韻を感じられるくらい。その日の朝、期待が膨らんでいただけに少し残念な気分にもなったけれど、その後まったく期待しないところでタイミングがあったものだから、清々しさがまた格別だったのだなと思う。

自然を相手にする楽しみは、絶対に人間がコントロールできないものと自分が、時々絶妙にタイミングの合う瞬間に出会えることかと思う。その幸せな瞬間をまた味わいたいと思ってやめられない。そして、相手に「委ねる」感覚が、自分を潔くもさせ、謙虚な心構えへとあらためる。これは日々の生活でも仕事でも、とても大切なことだとつねづね思う。

サーフィンというと遊びのイメージだけれど、海に入って得ること学ぶことはとても多い。遊びでありながら、自然との向き合い方や、人間観察好きな私としては生身のその人が見えるようでとてもとても興味深い。しかも体も鍛えられる。

なんでも手軽に多くの情報や知識が手に入る今、過剰な期待や思い込みがしんどい気持ちや負の感情、思考を生み出しているように思うけれど、そんな時にはできるだけ早くその場所から離れて、外の空気を感じて深呼吸してみたらいいと本気で思う。できれば軽く体を動かしてみると、少し前までのモヤモヤした気持ちが、ふわっと宙に浮いて軽くなっていく。私の「休み」は体を動かす時間でもある。

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